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土佐打刃物 高知県香美市土佐山田町 協同組合 土佐刃物流通センター 田村 有三 土佐打刃物 高知県香美市土佐山田町 協同組合 土佐刃物流通センター 田村 有三

使い手の理想を叶える職人技
世界にたった1本の
「土佐打刃物」

国の伝統的工芸品に指定されている「土佐打刃物」。その歴史は古く、1590(天正18)年、土佐一国を総地検した長宗我部地検帳に399軒の鍛冶屋があったと記されています。つまり、それよりも前から存在していたと言えます。

時代の移り変わりとともに求められる刃物の種類や用途が変わりながらも、切れ味や耐久性に優れた道具として評価され続けている「土佐打刃物」の最大の特徴は、自由鍛造というオーダーメイドスタイル。決まった型を持たず、使い手のニーズを聞きながら1本1本職人が手作業で仕上げている。そのため、とても希少性の高い伝統工芸品と言っても過言ではありません。

技術と伝統を継承しながら物作りに真摯に向き合う職人を支えるのは、問屋として代々商いをしている「協同組合 土佐刃物流通センター」の田村有三さん。「土佐打刃物」の歴史や魅力、技術を学び未来を担う若手職人への思いをお聞きしました。

Contents

伝統を守りながら
進化する「土佐打刃物」

「土佐打刃物」は高知県産であると同時に、伝承された技術を用いて定められた工程と原材料を使用して作られる物だけが名乗ることができる。伝統的工芸品に指定されているのは斧(おの)、鳶(とび)、鋸(のこぎり)、鎌(かま)、包丁、鉈(なた)、柄鎌(えがま)、鍬(くわ)の8製品のみだ。

「土佐打刃物は日本刀を作る刀鍛冶と農業の道具を作る野鍛冶が融合して生まれ、現在の香美市周辺が発祥の地と言われています。高知県は約84%が森林という環境にあることから、山や開墾に使う道具が発展。土佐藩家老の野中兼山による用水路や香長平野の開拓もあって、山で使う鋸や鉈、斧などの鍛冶屋が土佐山田町に集まったのではないでしょうか。田んぼのまわりには稲刈り道具の鎌を作る鎌鍛冶、町中には包丁を作る包丁鍛冶がたくさんありました」と、田村さんが歴史を教えてくれた。

鋸や鉈、斧など何を作るかによって使用する道具や必要な技術が変わってくることから、鍛冶屋は専門職として営まれてきたようである。

出稼ぎでPR、
刃物作りを支える人と町

「現在需要が高いのは包丁です。また、近年のアウトドアブームから鉈鍛冶が作るナイフの人気も高まっています。農具の多くは機械化されニーズは減りましたが、今でも南は沖縄から北は北海道まで、全国から注文が入ります」と田村さん。その言葉から多くの土佐打刃物ファンがいることが伝わってくる。同時に、どのようにして農具が全国に広まったのか?という疑問が生まれた。

「木の伐採・植林を終えた杣(山師)は別の場所に出稼ぎに行くのですが、その時に持って行った農具が評判となり津々浦々に広まって需要も増えました。問屋が土佐打刃物を持って全国を飛び回り注文をもらってくることもありました」と田村さん。ひとつの産業として発展した背景には、林業特有の働き方も影響してそうだ。そして、植林した木の手入れをするための道具を作ったり全国からの注文に対応したりするために、この土地に鍛冶屋が残ったと言えるだろう。現在も40数軒の鍛冶屋があり数社の材料屋や問屋も営業をしている。

鉄の塊が唯一無二の刃物に

「鉄の塊を叩いて広げて伸ばしてそれぞれの道具の形にしていくのですが、すべてが手作業です。道具のニーズは地域だけでなく、鍬などは山間部か平野部か、粘土質か砂地かでも異なります。もう少し軽くしてほしい、角度を鋭くしてほしい、厚みを持たせてほしいといった、使う人の細かな要望に丁寧に応えていきます」と話してくれた。職人の中には地名を聞いただけでどんな型を使っているのか分かる人もいるとのこと。

素材となる鋼・鉄づくり、鋼と鉄を一体化させる鍛接、強度を高めるために鍛造・成形。その後も刃を研いだり、硬度を高めるための焼処理をしたり、歪取り・仕上げなど土佐打刃物作りの工程は複雑で、1本を仕上げるのに相当な時間がかかる。しかし伝統と品質を守るためにも職人による手作りが続けられている。

比類なき鍛冶屋の匠が理想を叶える

土佐打刃物が選ばれる理由を聞くと「切れ味と耐久性、使い勝手の良さ。お客様の要望に応じて作っていく自由鍛造、つまりオーダーメイド」と答えてくれた。

「物作りは材料や資材もありますが、土佐打刃物は職人の技術が一番」と断言した田村さんの言葉に、技術と知識を兼ね備える名匠が伝統を守っているのだと改めて感じた。そして「父は問屋で祖父は鍛冶屋でした。祖父に研ぎ方を教えてもらうことで刃物の良し悪し、職人の癖などがだんだんと分かるようになってきました」と話す田村さんの目利き力も、品質を守るために欠かせない職人技なのだと。

土佐打刃物では世界にたった1本だけ、自分にとっての理想的な刃物を手にすることができる。「新たに作る場合は見本があるのが一番良いですが、型紙を送ってもらって作ることもあります。購入する場合でもいろいろ手に取って重さや広さ、長さなどを確認して使いやすい物を選ぶのが良いです。農具の場合も振ったり地面につけたりして選ばれていますよ」と教えてくれた。

伝統技術を受け継ぐ若手職人

伐採した木の角度を変えたり転がしたりする際に使う鳶や、電動の工具が増えた鋸は需要が減っている。刃物を作る鳶鍛冶や鋸鍛冶は1軒、2軒のみ。田村さんは「あと数年経つとなくなってしまうかもしれない。教える人がいなくなると復活ができないかもしれない」と悲痛な胸のうちを明かしてくれた。

危機的な状況にあるものの明るい兆しも見え始めている。400年以上の土佐打刃物を後世に繋ぐ取り組みが始まり、2019(令和1)年、伝統技法を学び伝承する「鍛冶屋創生塾」が開塾した。「現役の職人たちが教えにくる技術研修場で、2年間かけて技術の基礎を身に付けてもらいます。2年に1度、3名限定で募集しているのですが、皆さんめげずに頑張ってくれています」と嬉しそうに話してくれた。塾生たちは3年目以降も弟子入りをして経験を積んだり、技術向上や独立支援を受けたりすることができる。

未来の匠を応援しながら、一生ものとしてオリジナル包丁やナイフを作ってみてはいかがでしょうか。シェア畑や貸し農園で作業をしているなら鎌や鍬といった農具などもおすすめです。職人技が光る土佐打刃物をぜひ手に取ってください。

鍛冶屋創生塾 第2期生 橋本 貴広さん

工業系高校を卒業後、一度は一般企業に就職したものの夢を叶えるために入塾を決めた。「もともとは物作りに憧れていたので楽しいです。何もかもが初めてですが、土佐打刃物の特徴でもある自由鍛造は特に難しかったです。朝から夕方まで鉄と鋼に向き合いながら、これは上手くいったなとか考えています」と、充実の修行生活について話てくれた。橋本さんは現在も職人の元で勉強を続けながら、包丁鍛冶職人として独立することを目指している。

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