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土佐の地酒 高知県高知市相生町 有限会社 鬼田酒店 鬼田 知明 土佐の地酒 高知県高知市相生町 有限会社 鬼田酒店 鬼田 知明

変革者を支える“語り部”
蔵元の思いと酒の魅力を伝える

可杯(べくはい)や菊の花といったお座敷遊びの文化が残る高知県。酒好きが多いと言われ、淡麗辛口で雑味のないスッキリした味わいが特徴の日本酒が多く生産されてきました。しかし、社会やライフスタイルの変化によりお酒の楽しみ方も味わいの好みも様変わりし、今までとは真逆のフルーティーな日本酒も作られるように。その風味は老若男女に人気で、日本食ブームもあって海外への輸出量も増えています。さらに希少価値が高い物は、出荷開始から3か月ほどで売切れてしまう物もあるのだそう。

伝統を守りながらも変化にも対応し、新たな挑戦を続けているのが高知県内にある18の蔵元です。そして蔵元、飲食店や酒屋、行政、それぞれが強みを発揮しながら地域一体となって、日本酒界に旋風を巻き起こしています。

高知県で醸造されるお酒や蔵元の魅力、地域での取り組みについて「鬼田酒店」の鬼田知明さんにお聞きしました。鬼田さんは「宴はお酒を楽しむだけでなく、人と人とが出会い繋がり絆を深め合う場所」ということも教えてくれました。

Contents

淡麗辛口とフルーティー

「高知県は新鮮な海の幸・山の幸、野菜も豊富。地形や流通の関係もあると思いますが、生産地と消費地が近いため食材を保存する必要がなく、切って焼いてで完結するシンプルな料理が多いんです。そしてその味わいに合う辛口の日本酒がたくさん作られています」と鬼田さん。

「1970年代をピークに日本酒の出荷量は右肩下がりに。全国的にも量を飲まなくなったと言われています。そしてちょっと贅沢で満足感のある甘口のお酒が好まれるようになりましたね」と、時代とニーズの変化を教えてくれた。淡麗辛口の日本酒は飲みやすいため量も飲める、フルーティーな甘口の方が少しの量で満足感を得られやすいそうだ。

高知の酒席は出世の道

会社員として東京や海外での仕事を経験し、家業の鬼田酒店を継いだ鬼田さん。Uターンしたばかりの頃は、お酒の席が得意ではなかったのだそう。しかしその重要な役割に気づくと気持ちも変化し、今ではむしろ好きになったと言う。「人と人が繋がったり繋げたり。商売をする前の段階の話ですが、懐に入り込むのが上手になりますね。銀行、保険会社や製薬会社勤務で高知に赴任してきた人は、後に出世している人もたくさんいるんですよ」と、こっそり教えてくれた。宴を純粋に楽しみながらも、その場で得られる物は多いようだ。

ちなみに、お座敷遊びの可杯とは下に置くことができない杯という意味。酒が入ったまま膳や盆などに置けない天狗やおかめの形をした入る量の異なる盃を用意し、コマを廻して出た絵柄の盃で酒を飲むという楽しみ方だ。一方の菊の花は別名「お酒のロシアンルーレット」。人数分の盃と菊の花を用意し、菊の花入りの盃を選んだ人が酒を飲むという遊び。どちらも宴会を楽しむために生まれ、ひとつの文化として今も引き継がれている。

四半世紀を経て評価された酵母

高知県には、県内企業の技術力向上と産業振興を促進するために必要な試験や研究、技術支援などを行う「高知県工業技術センター」があり、日本酒作りに必要な吟醸酵母の開発が進められている。開発された酵母の情報は県内の事業社に公開され、さまざまな条件はあるが自由に使える仕組みになっている。

大きな転機となったのは、センターが開発した“CEL-24”の登場ではないだろうか。CEL-24を使うと、香り高く酸味と甘みの感じられるお酒ができるのだそう。「1993年、CEL-24を使って初めて日本酒を作ったのは亀泉酒造です。当時その味わいは賛否両論。こんな甘い風味は高知の酒らしくないという声もあり、他の蔵元が続かなかったんです」と鬼田さん。ところが今では、日本のみならず世界でも人気に。「恐らく10の蔵元がCEL-24で酒作りをしています。各蔵元が最終的に味わいの調整をしていますが、香りが全然違いますよ」と教えてくれた。

日本酒の出荷量が減り続け消費者の好みが変わる中で、蔵元も難しい決断を迫られたと察する。しかし、その一歩があったから今の盛り上がりがあると言っても過言ではない。

“語り部”として人と酒の魅力を伝える

蔵元だけでなく、酒屋も転換期を迎えているに違いない。鬼田さんは「昔と比べてお酒の買い方の選択肢は広がり、酒屋は絶滅危惧種だと思っています。でも何かの時には必要とされる、例えば父の日や母の日、誕生日の贈り物にどういったお酒がおすすめかなど、相談にのれる場所でありたいと思っています。お客様が何を求めているのかを感じ取って提案していく、満足度を高める商いを目指しています。そして、蔵元のストーリーや仕事の仕方、作り手の思いを代弁する“語り部”でありたい」と志を語ってくれた。

インターネットで何でも買える時代だが、風味、原料や醸造のこだわり、蔵元の思い、相性の良い料理などを聞きながら買い物をするのも楽しそうだ。

風味豊かな土佐の地酒4選

鬼田さんにタイプの異なるお酒4種を厳選し、その風味を解説してもらった。

濵川商店の「美丈夫 純米吟醸 CEL-24」は2年前から販売されている人気の酒。「フレッシュで華やかでフルーティー。本当にお米で作った日本酒なのかと思うほどの味わいで、ライスワインと呼ぶこともあります。発売当初はあまりお酒を飲まない方や初心者の方にフィットするのではないかと感じていましたが、日常的に召し上がられている方、老若男女から支持されています」と詳しく説明してくれた。

「酔鯨酒造『酔鯨 純米吟醸 高育54号』は高知県産の米 吟の夢と土佐の水で作ったお酒です。よりスッキリした土佐酒らしい風味で魚料理との相性がとても良い。南酒造場の『南 純米吟醸 雄町』はすきっとした旨味がありながらキレの良さを感じていただける1品」なのだそう。どちらも10年ほど前から販売されており、伝統や風習を継承して作られている日本酒だ。

4本目はアリサワの『文佳人』。「酒米としては最高峰と言われる山田錦を使用。しっかりした風味のお酒です。高知の中でも小規模で手作りを重んじる蔵元で少数精鋭のため生産量が少ない貴重なお酒」と魅力を教えてくれた。

人の繋がりが酒の魅力を広げる

鬼田酒店は店舗でも販売もしているが飲食店への卸が中心。「飲食店がお客様に日本酒の美味しさを伝えてくれるんです。良い酒を作る蔵元、支援をしてくれる行政、美味しさをお客様に届ける飲食店、語り部である酒屋が繋がり、高知の酒の魅力を届けていきます」と人との繋がりについて触れた。

高知には昔ながらのスッキリ辛口、新たに生まれたフルーティー甘口など、個性豊かな日本酒が種類豊富に揃っている。近年は「ダバダ火振」の無手無冠と「美丈夫」の濵川商店がコラボレーションしてリキュールを開発・販売するなど、横の繋がりで斬新な商品も作られている。通な人も、滅多に飲まない人も、初めての人も、ぜひ高知人の話を聞きながら酒を味わっていただきたい。

利他食堂 店主 福岡 啓太さん

今回取材場所として協力していただいた、鬼田酒店近くの人気店「利他食堂」店主の福岡啓太さんにもお話をお聞きしました。
「高知には美味しい物がたくさんあります。地元の水と空気で育った食材を使った料理と土佐のお酒が一番。観光客の方には魅力を再発見してもらえると思う。県外に行ってその土地のお酒を飲むのも最高。その土地ごとの良さがあります」
福岡さんの最近のお気に入りは、高知県産の米で作られる土佐酒造「桂月」だそう。

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