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土佐和紙 吾川郡いの町 尾崎靖製紙所 尾﨑 伸安 土佐和紙 吾川郡いの町 尾崎靖製紙所 尾﨑 伸安

世界が認める「土佐和紙」
職人の技と個性が光る
手すきの魅力

世界各国の文化財修復に和紙が使われていることをご存知でしょうか。紙は世界中で作られていますが、和紙は薄くて丈夫な紙として高い評価を得ており、絵画や書物などの保護・修復に欠かせない物になっています。

そんな世界が認める和紙の産地として知られるのが高知県。吾川郡いの町や土佐市周辺で作られる「土佐和紙」の歴史は古く、平安時代の927(延長5)年に完成した「延喜式」にも名前が記されています。伝統的な製法を用いて作られる「土佐和紙」は、国の伝統的工芸品に指定。水墨画や書道紙として使われる「土佐清帳紙」と文化財の修復などに使用される「土佐典具帖紙」は、高知県の無形文化財にも登録されています。

「尾崎靖製紙所」の尾﨑伸安さんは、手すきによる和紙作りや原料となる楮(こうぞ)の栽培、学校の授業などで和紙作りの楽しさや魅力の発信も行っています。「土佐和紙」の伝統を守り後世に残すために奮闘する尾﨑さんに話をお聞きました。

Contents

世界から評価される「土佐和紙」

土佐和紙の中でも土佐清帳紙は耐久性に優れていたことから、江戸時代は帳簿などに使われていたのだそう。現代では水墨画や書道紙としても使用され身近にある和紙と言える。ボストン美術館所蔵の浮世絵、システィーナ礼拝堂の大壁画をはじめ絵画や書物などの保存・修復に世界中から求められている土佐典具帖紙は、世界一の薄さと言われる。厚さはなんと0.02~0.03mmと職人技が光り、細かな繊維が絡まり合う丈夫な和紙として有名だ。

一般的に土佐和紙は、いの町や土佐市周辺で作られる手すき和紙、機械すき和紙を合わせた呼称だが、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の指定を受けているのは“流しすき”と“溜めすき”という伝統的な製法で作った和紙と定義されている。

和紙文化を支える土佐の楮

福井県の越前和紙、岐阜県の美濃和紙、高知県の土佐和紙は日本三大和紙と呼ばれているが、和紙は日本各地で作られている。「つい先日お会いした県外の人からは高知の原料がなくなったら終わりかもしれないという話がありました」と尾﨑さん。こうした背景について「土佐和紙には三位一体という特徴があり、昔は和紙だけでなく、和紙の原料となる楮の栽培や和紙作りに必要な道具作りも盛んに行われ、その良質な原料や道具が今でも全国各地で使われているんですよ」と話してくれた。

そして「いの町をはじめ仁淀川流域を中心に和紙の原料となる楮がたくさん作られ、一番多い時で高知の楮が全国シェアの半分近くもあったと聞いています。さらに仁淀川や四万十川が流れ、紙作りに欠かせないきれいな水にも恵まれた環境。多い時は1,000人以上の職人が紙をすき、400軒以上ほどが土佐和紙に関連する仕事に携わっていたと思います」と、子どもの頃の町の様子や伝え聞いてきた地域の歴史についても教えてくれた。

高知で発明された道具が日本各地へ

三位一体のひとつである道具について語るうえで欠かせないのは、土佐出身の吉井源太氏だ。「現在、全国で使われている紙漉き道具の大半は吉井さんが開発した物が基になっている」と尾﨑さん。吉井源太氏は1858(安政5)年に用具を改良し紙の量産化を実現、紙の品質改良や紙の開発、製紙技術を全国に広げるなど和紙の発展に貢献した人物だ。

土佐和紙は道具、良質な原料の楮と豊かな水。そして多くの紙すき職人がいたことから各々が技を磨き品質を高め、土佐清帳紙や土佐典具帖紙、薄い・厚いや繊維の長い・短いなどさまざまな種類の和紙が作られるようになった。これらが一大産業として繁栄した理由と言えそうだ。

まさに一期一会。
職人の個性が表れる

尾﨑さんに、土佐和紙の魅力や他の和紙との違いを質問したところ「考えたこともなかった。使ってみたらきっと違いが分かるんですよね。繊維の長さによって丈夫さや書く時の絡み方が違うため、用途によって良いと感じる和紙には違いがあります。いろいろ試して気に入る紙を見つけてほしい」という回答が返ってきた。そして「縦にすくか横にすくか、円を描くようにすくか。振る速さや踏み込み方が違うと出来が変わってくる。産地ごとにすき方も違うし、人が代われば出来上がる紙も変わる。手すきは1枚1枚違うんです。色付けや加工もそれぞれ」と言葉を続けた。

確かに一概に魅力や違いを表現するのは難しいのかもしれない。同じ職人が作る和紙でも原料の質や季節によっても変わってくるだろう。運命の1枚と出会えるかもしれないと想像すると、とてもワクワクする。

1000年以上の歴史を誇る
和紙を未来へ

現在、いの町で手すきの和紙作りをするのは7人ほど、楮を栽培する農家も年々減っている。「以前の土佐和紙作りは分業が基本でしたが、私は楮の栽培や加工、手すきなどすべての工程をできるようになろうと勉強中です。原料の質によって製品が変わってくるため、楮がきれいだとその後の作業がスムーズになり品質の良い物ができる」と、和紙作りへの思いを話してくれた。

和紙作りには、楮を蒸して皮を剥ぐ作業、漂白したりチリを取ったりする原料処理、紙をすき乾かすといった多くの工程がある。このすべてを行なうのは相当な時間と体力が必要だ。しかし尾﨑さんの言葉からは、伝統的な製法で作る土佐和紙を守ろうとする強い意志が感じられた。

世界が認めた高品質な土佐和紙。職人が丁寧に仕上げた和紙を手に取って独特の風合いに触れ、違いを感じながら運命の1枚を見つけていただきたい。尾﨑さんも多くの時間を過ごす「道の駅 土佐和紙工芸村」では、紙すき体験でオリジナルのはがきや色紙を作ることができる。職人の技を肌で感じてみてはいかがでしょうか。

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