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天日塩 高知県幡多郡黒瀬町 有限会社ソルティーブ 吉田 拓丸 天日塩 高知県幡多郡黒瀬町 有限会社ソルティーブ 吉田 拓丸

自然からの贈り物
「土佐の塩丸」
“塩守り”が語る
その奥深さと魅力

イルカやアカウミガメが近くに住み、ホエールウォッチングができる場所としても知られる幡多郡黒潮町。高知県の西南地域に位置する小さな町では約35年前から塩作りが盛んで、近年は特産品としても人気が高まっています。

塩は世界中に存在し、土地や気候にあった方法を用いて作られています。高温多湿の日本では海水を煮詰める製塩法が発展。天然塩の中でも釜焚き塩と呼ばれるようになりました。しかし黒潮町では釜焚き塩とは違い、あえて火力を一切使用せず、太陽と風など自然の力だけで海水から水分を蒸発させて作る天日塩が有名です。

塩作りの技術を伝え、多くの職人を輩出してきた有限会社ソルティーブが製造・販売する完全天日塩「土佐の塩丸」。個人客から飲食店まで多くのファンが指名買いする人気商品で、「子どもが土佐の塩丸さんの塩で作ったおむすびしか食べない」と何とも嬉しい声が届くこともあるそう。今回は有限会社ソルティーブの“塩守り”吉田拓丸さんに天日塩の魅力や塩作りについてお聞きしました。

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主役は自然。その姿を見守る

「自分たちは“塩守り”です」と自己紹介をしてくれたのは有限会社ソルティーブの吉田さん。天日塩作りの主役は海、風、太陽。それらが作り出す塩の日々の成長の“おもり”をするという思いから生まれた言葉で、自然の力への敬意と尊敬が感じられる。

「お母さんの羊水や血液といった体液の塩分濃度やミネラルバランスは、生物が誕生した頃の海の成分とものすごく似ている。海を抱えて私たちは生きているんです。体の中の海、水分量やミネラル不足などで正常な状態でなくなると手足が痙攣したり、物事がうまく考えられなくなったりする」と吉田さん。海と塩、そして人とのつながりをロマンチックに話してくれた。

吉田さんは3歳の時に高知県に引っ越してきた。塩作りをする父親の背中を見るうちに「自分も塩作りをしたい」と思うように。しかし「高校と大学には行きなさい」と言われたのだそう。“ただ諾々と継ぐのではなく自分の力で生業を見つけてほしい”という親からの思いを感じ取った吉田さんは、企業に勤めることを選んだ。

「何をしようかと考えた時、キーワードとして浮かんだのは“海”。大阪の会社でダイビングのインストラクターとして働きました。そして、やっぱり塩作りをしたいと高知県に戻ってきました」と塩作りをはじめた経緯を教えてくれた。

ミネラル豊富な天日塩

海水にはナトリウムやマグネシウムなど人の体に必要不可欠なミネラルが多く含まれている。吉田さんは天日塩の魅力について「さんさんと降り注ぐ太陽と浜風。自然の力だけでゆっくりと時間をかけて結晶化させていくことで、海水中に含まれる様々なミネラルが抜け落ちることなく一粒一粒に込められ、複雑な味わいになるんです。塩辛さが抑えられ甘・酸・塩・苦・旨の五味やコクが感じられます」と話す。

同時に「釜焚き塩は一気に炊き上げるため、どこかのタイミングでミネラル分が外に出てしまう場合が多いです。でも、釜焚き職人の中でも、熱源の種類や釜の形状、火をかけるタイミングや時間、濃度など、いろいろなことを試行錯誤しながら作られる方もいます。完成した塩のはそれぞれ特徴があって、とても美味しいんです」と、塩の奥深さを教えてくれた。

塩作り体験はまるで化学の授業

有限会社ソルティーブの塩作り体験プログラムは海水から塩を作る工程だけでなく、自然や海について学ぶことができると人気だ。

「海水の塩分濃度を知っていますか?」という吉田さんの質問から始まる体験会。正解は約3パーセントで、海水100mlから採れる塩はわずか1グラムほど。「海水には、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)など約80種類のミネラルが含まれている。塩作りの原理は基本的に同じで“海水ー水=塩”」と、化学の勉強をしている感覚になる。シンプルにまとめると“海水ー水”だが、その工程は果てしない。さまざまな工夫をしながら自然の力だけで水分を蒸発させて塩分の濃度をあげて、天日塩を作っていく。

夏場は60度近くにもなるハウスの中で、塩の成分が一定になるように手作業でかき混ぜる攪拌作業を行うことが日課となる。それら様々な塩作りの工程を追体験できる内容となっている。

過酷な仕事だが、やりがいについて「夏になると自由研究目的で塩作り体験を希望する子どもさんも多くいます。たくさん汗をかいていることもありますが、ずっと塩をなめているんですよね。子どもから求められているのは嬉しいですし、その子の成長に寄与できている感覚になります」と話してくれた。

違いや変化を楽しむのも醍醐味

有限会社ソルティーブは2か所の製塩所で3種類の「土佐の塩丸」を作っている。お父さんの代から変わらない塩作りをしていて、もっとも野性的なのは粗目の粒と細かな粒が混ざり合った「初代・土佐の塩丸」。1日1回の攪拌作業をしている。自然の影響を受けやすく、過去には注文から出荷まで最大1年半待ちという状況もあったのだそう。

夏は4回ほど、冬は2回ほどの攪拌作業により、粗めの粒に仕上げるのが「二代目・土佐の塩丸(白丸)」。さらに回数を増やしてやや細かめの粒に仕上げたのが「二代目・土佐の塩丸(青丸)」。どちらももちろん完全天日塩だ。高知県名物のカツオのタタキ、ステーキの仕上げには粗目の塩。スープなど食材に味を馴染ませたい時は細かな粒がおすすめ。

「原料や原理は同じだが、攪拌の仕方やタイミング、頻度によって粒の大きさや形、固さが変化していき味に違いが出ます。また春夏秋冬などの季節やその時の気候によっても変化が出ます。製品としてお出しする以上、品質が一定の物を提供するのが筋だとは思いますが、自然の力で作っているので、まったく同じというのはどうしても難しいんです。季節や気候によって違いがあることや変化さえも楽しんでいただきたい。春夏秋冬の塩を集めて食べ比べすると、味の違いは分かると思います」と、吉田さん。

理想の塩を目指して

塩は特産品としてだけでなく、地域活性の取り組みとしても注目を集めている。

新しい塩が続々登場しても吉田さんの塩作りのスタンスは変わらない。「塩作りはトライアンドエラーの繰り返し、理想に近づくために日々ブラッシュアップしてベストを尽くすという感覚。食べる人の好みや食材との相性もいろいろ、選んでくれたら嬉しいですし、選べる機会を提供できればと思っています」と、謙虚さの中にも確固たる自信が感じられた。

高知の雄大な自然の力が作るミネラル豊富な天日塩をぜひ味わってほしい。「土佐の塩丸」の食べ比べ、高知県産の他ブランドとの比較、天日塩と釜焚き塩の違いを見つける。そんな味わい方も面白そうだ。

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